建設業許可「一般」と「特定」

Q これから建設業許可を取得しようと思っています。知り合いの業者は「一般」建設業許可を取得したと聞いたのですが、「特定」建設業許可とどう違うのですか?
また、当事務所はどちらを取得すれば良いのでしょうか?

A 建設業の許可は「一般」建設業と「特定」建設業に区分され、元請として発注者から直接工事を請け負い、金額の大きな下請工事の発注をするような場合は、「特定」の許可が必要となります。具体的には、1件の工事について、下請代金の額が4,500万円以上(ただし、建築一式工事は、7,000 万円以上)の場合です。
上記のような場合でなければ、「一般」の許可を取得することとなりますので、ご自身の会社の請け負う工事の状況により、判断が必要となります。

建設業許可の許可区分

許可の区分は、「特定」「一般」に分かれます。

それぞれ以下のような場合です。

特定⇒元請けとして受注した1件の工事について、下請けに出す金額の合計が4,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上となる場合

一般⇒下請代金が上記を上回らない場合

※下請契約の締結に係る金額について、令和5年1月1日より、建築工事業の場合は6,000万円だった要件が7,000万円に、それ以外の場合は4,000万円だった要件が4,500万円に引き上げられました。

上記の金額は、あくまで元請として下請負人に出す金額についての制約であり、下請負人として工事を施工する場合は、請負金額の制約はありません。

なお、同一の建設業者が、1つの業種については特定建設業の許可を、もう1つの業種については一般建設業の許可を受ける、ということもできます。

許可要件の違い

特定建設業許可を取得する場合、一般建設業許可の場合に比べて、許可要件はより厳しいものとなっています。

建設業許可には、一般でも特定でもクリアしなければならない要件が5つあります。

1、経営業務の管理を適正に行うに足りる能力がある
2、専任技術者がいる
3、誠実性
4、財産的基礎
5、欠格要件等に該当しない

このうち、2の専任技術者と4の財産的基礎の要件基準が、特定の方がより厳しいものとなっています。

専任技術者

すべての営業所に、許可を受けようとする建設業に関する、一定の資格または経験を有する技術者を配置することが必要です。

一般建設業の場合

次のイ、ロ、ハいずれかに該当する者

許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し、高校の指定学科(旧実業学校を含 む)を卒業後5年以上、又は、大学の指定学科(高等専門学校・旧専門学校を含む)を卒業後(専門職大学の前期課程を修了した場合を含む)3年以上、実務の経験を有する者
許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し10年以上の実務の経験を有する者
イ又はロに掲げる者と同等以上の知識・技術・技能を有すると認められた者
① 専修学校指定学科卒業後5年以上の実務経験を有する者(専門士又は高度専門士を称する者であれば3年)
② 有資格区分に該当する者
③ 登録基幹技能者講習修了者(許可を受けようとする建設業の種類に応じ、国土交通大臣が認めるものに限る。)
④ その他、海外での工事実務経験を有する者で国土交通大臣の個別審査を受け認定を受けた者等

特定建設業の場合

次のイ、ロ、ハいずれかに該当する者

許可を受けようとする建設業の種類に応じて国土交通大臣が定めた試験に合格した者、又は建設業の種類に応じて国土交通大臣が定めた免許を受けた者
法第7条第2号(一般建設業の要件)イ、ロ、ハに該当し、かつ、許可を受けようとする建設業に係る建設工事で、元請として2年以上指導監督的な実務経験(4,500万円以上 (昭和59年10月1日前にあっては1,500万円以上、平成6年12月28日前にあっては 3,000万円以上)の工事についての経験)を有する者
国土交通大臣がイ又はロに掲げる者と同 等以上の能力を有すると認定した者(海外での工事経験等について等)
※ 指定建設業(土、建、電、管、鋼、 舗、園)については上記のイ又はハに該当する者に限る。(ロの指導監督的実務経管では、特定建設業の専任技術者にはなれない。)

専任技術者についての補足解説

「専任」の者とは

勤務を要する「営業所に常勤して」専らその職務に従事することを要する者をいいます。

「営業所に常勤」とは、原則として営業所において休日その他勤務を要しない日を除き一定の計画のもとに毎日所定の時間中、その職務に従事している者をいいます。

勤務を要する営業所に常勤できる距離に居住していることも必要となります。

令和5年7月1日からの専任技術者の改正点について

令和5年7月1日に、一般建設業許可の営業所専任技術者の要件の緩和に係る改正が施行されました。

【改正前の内容】

大学の指定学科(施行規則第1条の表に掲げる学科)卒業後3年の実務経験を有する者及び高校の指定学科卒業後5年の実務経験を有する者は、一般建設業許可の営業所専任技術者要件を満たす(法第7条第2号イ)。

【改正後】

以下の表に掲げる検定種目に係る1級の第1次検定又は第2次検定に合格した者は、大学において同表に掲げる学科を卒業した者と同様に、その合格後3年の実務経験を有することで、一般建設業許可の営業所専任技術者要件を満たす。

また、以下の表に掲げる検定種目に係る2級の第1次検定又は第2次検定に合格した者は、高等学校において同表に掲げる学科を卒業した者と同様に、その合格後5年の実務経験を有することで、一般建設業許可の営業所専任技術者要件を満たす。
※本要件緩和は指定建設業(法第15条第2号)及び電気通信工事業以外の建設業において適用されます。

技術検定種目同等とみなす指定学科
土木施工管理・造園施工管理土木工学
建築施工管理建築学
電気工事施工管理電気工学
管工事施工管理機械工学

※特定建設業許可の営業所専任技術者要件(注)、建設工事において配置する主任技術者・監理技術者(注)も同様の扱い。(注:指定建設業は除く)

つまり、指定学科の卒業者以外で実務経験が10年必要な場合であっても、上記の検定を合格することで、実務経験の期間を(合格後)3年または5年に短縮可能となったのです。

参考ページ:国土交通省HP「実務経験による技術者資格要件の見直し」

財産的基礎要件

倒産することが明白である場合を除き請負契約を履行するに足る以下の財産的基礎又は金銭的信用を有していることが必要です。

一般建設業の場合

下記の①、②、③のいずれかに該当すること
① 直前の決算において自己資本の額が500万円以上であること
② 500万円以上の資金調達能力のあること
③ 直前5年間許可を受けて継続して営業した実績のあること

特定建設業の場合

直前の決算において下記の①~③の要件すべてに該当すること

① 欠損の額が資本金の20%を超えないこと
② 流動比率が75%以上であること
③ 資本金が2,000万円以上であり、かつ、自己 資本が4,000万円以上であること

さいごに

大鐘行政書士事務所では、建設業許可の取得からその後の手続きのサポートまで、まるっとお任せいただけます。

神奈川県、横浜市で建設業許可取得をお考えの際は、大鐘行政書士事務所へぜひお気軽にご相談ください!

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